令和元年6月議会一般質問まとめ② 犯罪被害者支援条例について

犯罪被害者等支援シンボルマーク ギュっとちゃん 警察庁

犯罪被害者等支援シンボルマーク ギュっとちゃん

令和元年6月議会では、犯罪被害者支援について、お聞き致しました。

まず、議会にて犯罪被害者支援を取り上げた背景を記したいと想います。

 まず聞き慣れない言葉かもしれませんので犯罪被害者支援条例をごく簡単に説明します。犯罪被害者支援条例は、犯罪等の被害にあい、様々な問題に直面する市民とその御家族、御遺族等の相談日常生活支援、精神面への支援、住居支援、経済的負担の軽減、法律相談、雇用の安定化のための支援などを行うため条例です。日本では、被害者への支援が諸外国と比べ手薄とも指摘されている点もあり課題となっています。

▲犯罪被害者支援条例が必要と考えられる背景
①精神的・経済的な問題
 犯罪被害に遭う人は特別な人ではなく、社会で普通に暮らしている人たちです。その平穏な暮らしの中で、犯罪は突然起きます。犯罪の被害者やその遺族・家族には、事件による直接的な心身の被害以外にも様々な被害が降りかかります。
大切な家族を突然奪われた場合の衝撃についてはいうまでもありませんし、生命を失わないまでも、暴力などを受けたときの記憶は、その後も長い間、被害者を苦しめることになります。
 そして経済的に困窮する場合もあります。家計を担う人を失った場合、遺族は深刻な問題に直面します。また、犯罪によってけがをした人や精神的な支援が必要になった人には治療費の負担がのしかかります。治療や療養が長引いて長期間仕事を休まなければならない場合もありますし、そのために失職や転職を余儀なくされる場合もあります。また、後遺症のために従来通りの仕事ができなくなる場合もあります。 
 また捜査や裁判の過程における負担もあります。その過程では被害を受けた際の様子を詳細に思い起こして語ったり、証拠物件があればそれについて説明したりすることが必要ですが、犯罪被害者等にとっては、大きな精神的負担となることもあります。

②賠償金が支払われない問題
 賠償についても課題があります。賠償請求をしようとしたら、裁判を起こす費用もかかり、判決までの期間も長いことも課題です。また常磐大学元理事長の諸沢英道氏が犯罪被害者の遺族約240人を調査した結果、遺族に一部賠償がなされた例はわずか十数%に止まり、全額支払われた例はなかったとのことです。
 これは、被害に遭い、民事訴訟で加害者に賠償金を支払うよう判決が出ても、一部しか払えないまたは、加害者側が無視して応じない場合がほとんどであるということを意味しています。一方、損害賠償請求権は10年で時効となるため、消滅時効を中断させるためには再び提訴する必要があります。この時の訴訟費用として賠償金の額にもよりますが、印紙代が数十万円かかります。そしてあろうことか、その分を被害者が負担しているという実情もあり、本当に被害者の方の憤りは計りしれないと思います。

▲犯罪被害者支援条例への浦安市の見解について

 現在でも関係機関の努力によって被害者支援を行っているところですが、さらに被害者のことを社会全体で支えるという機運を基礎自治体でも高めていく必要があります。犯罪被害者支援条例を策定する基礎自治体も徐々に増えており、各地で単独条例が制定されている現状があります。そういった中、犯罪被害者支援条例についての本市の考え方を伺いました。市長より『各自治体の犯罪被害者支援につきましては、平成16年に施行された犯罪被害者等基本法(第5条)で、「地方公共団体は、基本理念にのっとり、犯罪被害者等の支援等に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と規定されており、これに基づき、各自治体において条例制定等を行っているものと認識しております。
本市におきましては、平成17年に「浦安市安全で安心なまちづくりの推進に関する条例」を制定し、(当条例第14条において、)犯罪被害者等への支援を規定しているところです。
 なお、現時点では本条例の見直しについては考えておりませんが、今後、必要に応じて改正したいと考えております。』
との答弁を得ました。条例制定は一朝一夕に出来るものではないので、『必要に応じて改正したい』といった答弁は、検討の余地がある前向きなものと自身は受け取りました。是非とも本件について継続的な調査・検討を行い、被害者によりそった形での改正を願ってやみません。
 また、是非、明石市の条例について、まずは事例調査をしてほしいと申し伝えました。先進自治体の兵庫県明石市では犯罪被害者条例を制定し、上限300万円の立替支援金制度(市が被害者等から債権譲渡を受けて、以後債権者として加害者に対して債権を行使して回収するという手法)をはじめ転居費用の補助や、家事や介護、保育への支援など、犯罪被害者遺族などの要望に応えたきめ細かな支援策を実施しています。最後になりますが、犯罪被害者の心身のケアや経済的な支援について何が必要なのか、自身としても引き続き調査・研究を行って参ります。また6月議会が終わり、直近参加した勉強会で、改めて、自治体に求められることが多いのだと理解したところです。

2019年07月20日
柳 毅一郎

 

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