新型コロナウイルスに係る融資について

本市でも新型コロナウイルス感染症に関する中小企業者支援について、制度改正がなされました。

中小企業者を支援するため、すでに浦安市の制度融資を利用して保証協会の保証を受けた融資元本がある中小企業者の方も、申請いただけるよう運用を見直され、且つ、融資期間が5年以内だったものが融資期間7年以内(据置き期間2年以内を含む)と変更されております。

http://www.city.urayasu.lg.jp/shisei/jigyosha/1007216/1028678.html

融資条件としては、

新型コロナウイルス感染症の流行に伴う要因により、令和2年1月以降の売上高が減少し、以下のいずれかの要件に該当することであり

①最近1か月の売上高が前年同月と比較して10%以上減少しているもの
②最近1か月とその後の2か月を含む3か月間の売上高の見込みが前年同時期と比較して10%以上減少することが見込まれること

が条件となっております。

また、この制度は、市が市内企業に直接貸付を行うわけではなく、市内企業が借り入れた銀行融資に対し、市が支援を行うものです。
市の審査については、主に市税の滞納が無いかといった要件の点であり、融資判断については、銀行の担当になります。

★ここからは自身の見解です。浦安市や銀行の見解ではありません★

前職が銀行員で中小企業向け融資をしておったため、本当に簡単ですが元銀行員として、経験的に感じる今回の融資の審査ポイントについて触れてみます。
私が実務を行っていたのは、リーマンショック後の頃でしたが、やはり同様の条件で融資が行われていました。

まず大前提として、過去の決算の成績が良ければ、審査は通りやすいです。

銀行は決算資料に基づき、企業毎に格付けをおこなっており、その格付けをもとに金利の水準や与信枠(どの位融資出来るか)が決まります。また与信枠に基づき、無担保融資が出来るのはいくらまでとか、担保を取って融資をするか等を決定しています。

今回の融資制度は信用保証協会に基づくものですので、万が一、融資の貸し倒れが起きた場合、信用保証協会から銀行へと貸し倒れた資金について補填(通常8割程度)がなされます。

企業にとって保証料はかかりますが、信用保証協会は本当にありがたいものです。過去の事例を見ても、信用保証協会への保証料だけでは銀行への補填分をまかないきれてはおりませんので、借り入れを行う企業にとって、この保証料は無駄ではありません。

また当然、付き合いの無い金融機関への新規融資は審査に時間がかかるため、まず日頃より付き合いのある金融機関への相談を第一として下さい。

そして、銀行担当者との付き合い方ですが、銀行は書類主義なので資料が充実している方が、銀行担当者はありがたいので、銀行担当者が求める資料を迅速に作成していただければと思います。

その上で今回は、

①最近1か月の売上高が前年同月と比較して10%以上減少しているものについては、

法人の場合、前年同月を比較出来る残高試算表(月次決算書)を迅速に作成することがまず早く融資がおりるポイントとなるのではないかと思います。(必要資料がそろわないと判断が出来ない為、稟議書の決済は遅れ、結果融資実行も遅れるという意味において)
また場合によっては資金繰り表(キャッシュフローについての資料:資金残高が今後どうなるかといった資料)を求められますので準備しておくと良いと思います。蛇足ですが、銀行融資のためではなく、資金繰り表は経営のため普段から作成した方が良いと思います。昔と違い今は簡単に作れるソフトがあると思います。

融資条件は、10%の売上(損益計算書:PL)の減少だけの記載がありますが、資産(BS)のものもあれば最初から提出した方が、良いです。実務上、おそらく求められると思います。
なお、PDF浦安市融資制度のご案内には、必要書類として、残高試算表(決算から 6 カ月以上経過している場合)(法人のみ) との記載があります。それくらい銀行はこの残高試算表を大事にします。売上高だけではわからないことが多いからです。

銀行は、貸借対照表(BS)では特に借方では売掛金と受取手形と棚卸資産、貸方では、買掛金とか支払い手形の動向も気にしているはずです。

売掛金や受取手形などは、まだ現金化されていない売上のことで、いつ現金が入ってくるか知りたいからです。棚卸資産は仕入れた商品で在庫として残っている商品ですが、将来的に現金化する資産でありこれがどの程度残っているか把握したいためです。同様に未払いの仕入れ代金(買掛金)や支払手形がどの位残っているか知りたいからです。

②最近1か月とその後の2か月を含む3か月間の売上高の見込みが前年同時期と比較して10%以上減少することが見込まれることについても、

減少する理由を細かく書くと融資担当者が稟議が書きやすくなり、審査が早くなると思います。必ず、銀行担当者は上席に数字の根拠を聞かれます。こちらについても、場合によっては資金繰り表(キャッシュフロー:資金残高が今後どうなるか)を求められますので準備しておくと良いと思います。

このポイントについては、浦安市の融資制度に限らず、売上高減少といったような融資条件が同じようなものは、似たことが言われると思います。

元銀行員としては、利子の面や2年もの据え置き期間など、今回の融資条件はかなり良いものと考えますが、今回の新型コロナウイルスの状況が読めないため、長期的にコロナウイルスが継続するようなら、さらに総合的な取り組みが必要となると考えます。いずれにせよ基礎自治体の浦安市、単体だけでなく、国や県との連携が不可欠となります。

   

2020年04月08日
柳 毅一郎

 

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