浦安市教育委員会に教科書採択について申し入れしました

浦安市教育委員会に教科書採択について申し入れしました。

教科書検定は原則として四年に一度行われますが、今回の教科書検定は、平成18年に教育基本法が改正され、その教育基本法のもとでの初の検定であったからです。

以下、申し入れに係る文書を一読していただけたらと思います。

浦安市教育長殿

申し入れ

平成24年4月から使用される浦安市の中学校教科書(歴史)について、改正教育基本法に沿った教科書採択の申し入れを行うものです。

平成18年に改正された教育基本法はでは「伝統を継承し、新しい文化の創造をめざす教育」の推進がうたわれ、第一条 には教育の目的として「国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」という文言があります。さらに第二条5には「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」が明記されました。

また、文部科学省が策定した「学習指導要領」は、我が国の伝統文化に根差した国民形成を目的とする上記の改正教育基本法の趣旨に則り、「 歴史的事象に対する関心を高め、我が国の歴史の大きな流れを、世界の歴史を背景に,各時代の特色を踏まえて理解させ、それを通して我が国の伝統と文化の特色を広い視野に立って考えさせるとともに、我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる」と記されています。
しかしながら、これまで浦安市の学校教育で採用されてきた東京書籍(以下、東書)の歴史教科書は、そうした改正教育基本法や学習指導要領の趣旨を十分に斟酌し反映した内容とは言い難い重大な疑いがあると考えます。
市行政による現行の教科書採択制度については、その公開性やアカウンタビリティーからいささかの疑義を拭えず、また歴史教科書と同等の問題は公民教科書にも見受けられますが、事態の緊急性と、教科書採択の結果が教育現場の子供たちに与える影響の重大性にかんがみ、くれぐれも真正的確な審議・採択を庶幾して、さしあたり歴史教科書採択について以下の通り申し入れ致します。

① 従来浦安市が採用してきた東書の歴史教科書は、現行の教育基本法が謳うような、我が国固有の伝統文化の継承と、国家を担う健全な国民の育成といった理念に資するとは言えません。東書は教科書の最後を「グローバル化の中で、私たちは日本国民としての意識だけでなく、地球に生きる人間(地球市民)としての意識を持つことが求められています」と締めくくっていることからも、「国民」としてよりは「地球市民」としての自覚を促す内容に終始しています。これは上述した教育基本法の理念に背馳するものです。
同様に学習指導要領(歴史的分野1目標(1))の「歴史的事象に対する関心を高め,我が国の歴史の大きな流れと各時代の特色を世界の歴史を背景に理解させ,それを通して我が国の文化と伝統の特色を広い視野に立って考えさせるとともに,我が国の歴史に対する愛情を深め,国民としての自覚を育てる。」との文言にも背馳するものです。

② 東書は、教育指導要領(歴史)が、我が国の神話について「神話・伝承などの学習を通じて、当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせる」と明記しているにもかかわらず、古事記・日本書紀の紹介として「伝承や説話・神話をもとに、天皇の地位や権力の正統性を明らかにする目的をもって書かれました」と書くだけで、神話の具体的内容に関する記述はありません。ところが、アイヌや琉球の神話については別項を設けて特筆大書する不公正な内容となっています。これらは、学習指導要領(歴史)は、日本神話に対し「神話・伝承などの学習を通じて、当時の人々の信仰やものの見方などに気付かせる」との記述があり、明記されている点を無視していると言わざるを得ません。

③ 我が国の歴史は、建国以来、われわれの象徴である天皇家とわれわれの遠い祖先が協力して幾多の困難を乗り越え築きあげた日本民族・日本国家の遺産です。よって国家の起源を「支配対被支配」の関係で説明する階級史観や、歴史を単線的な自由民主化への道のりととらえる近代主義的な進歩史観は妥当しません。しかるに、東書では、人々を支配する豪族の領袖として大王を描き、わざわざ貴族の饗宴で出された食事と庶民の粗食を比較して貧富の格差を強調するなどのミスリーディングな記述が見られます。またフランス革命について「生まれや国籍を問わず、普遍的な人権を主張する革命だったので、世界中の抑圧に苦しむ人々に希望を与えました」と書き、あたかもそれまでの世界の歴史がすべて暗黒時代だったかのような錯覚を与えかねない記述となっています。

我が国民がわれわれの象徴である天皇家とともに歩んだ固有の歴史を理解することなしに国を愛する健全な心は育たないと考えます。

④ 聖徳太子の対隋対等外交は、我が国が中国中心の華夷秩序における冊封体制に与せず、天皇を中心とした独自の国家建設を進める不抜の国民的意志のあらわれでありました。このとき、小野妹子を通じて隋の皇帝にあてた国書が「天皇」号の始まりであり、「日本」という国号も「日出づる処に近い」という意味に由来することからすれば、中華世界と一線を画する我が国固有の地位はこのときに確立したともいえます。しかしこの事実について、東書はさしたる特別な意義を認めず、たんなる文化交流の一端としてしか説明しておりません。このため、足利義満が明に朝貢し、日本王の冊封を受けて勘合貿易を行ったことの問題性が閑却されています。

⑤ 幕末の黒船来航に始まる我が国の近代史は、西力東漸による当時の緊迫した国際関係のなかで、我が国が自存自衛を保持するために戦った苦悩の歴史でありました。しかし残念ながら、東書の記述では、そうした当時の我が国を取り巻く複雑な国際環境が十分に説明されていないために、我が国が一方的に大陸に対する領土的野心を抱き、軍事的侵略に及んだかのような印象を与える内容になっています。例えば、日清戦争の経緯についても、朝鮮をめぐる日清の勢力争いとしか書かれておらず、当時極東開発を進め、朝鮮への領土的野心を抱懐する大国ロシアの南下政策への言及がありません。我が国は、自らの主権を防衛し極東の秩序を確立する目的で日清・日露の両戦役を戦い、朝鮮を併合し、延いては満州・華北に進出したのであって、単純な侵略的意図でこれを行ったのではありません。東書は、日露戦争中に出された反戦論や戦費を賄う重税に苦しむ国民の姿を強調し、朝鮮総督府による同化政策を断罪しますが、所詮短絡的かつ自虐的な歴史認識と言わざるをえません。

東書歴史教科書の問題点はこれ以外にも多岐にわたりますが、上述のような点にかんがみただけでも、この教科書が、我が国固有の伝統文化を継承し、国家を担う国民を育成することを期した現行教育基本法の趣旨に合致しないか、背馳するものであることは明白であると考えます。そのため改正教育基本法の法的趣旨や学習指導要領を反映している育鵬社・自由社の教科書を浦安市の教科書として採択することを希求いたします。

いずれにいたしましても、現在、教育委員会による「教科書採択」作業を行っているところでありますが、教育委員をはじめとする教育関係者には、是非とも、どの教科書が教育基本法や学習指導要領の趣旨に沿った教科書なのか、歴史教育の役割を再確認した上で最終採択して頂きたく存じます。

2011年8月25日
浦安市議会議員
柳毅一郎

2011年08月26日
柳 毅一郎

 

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