平成31年3月議会一般質問で取り上げた幼児・児童虐待についてまとめました。
本年1月に野田市で小学４年生の女の子が自宅で死亡し、両親が相次いで逮捕された事件が発生しました。虐待を行った両親が一義的に悪いのは当然のことですが、子どもの命を守るはずの学校、教育委員会、児童相談所の判断ミスと連携不足、そして強硬なクレームに対する基本的な準備、心構えが足らなかったことが、最悪の事態を招いたのではないかと思います。
内容については、皆様も承知の上ではないでしょうかと思いますが、本当に理不尽な事件であり強い憤りを覚えます。児童相談所は県の管轄でありますが、本市としても子ども家庭センターがあり、改めてこの件を契機として、私たちは何をすれば虐待事件をなくす事ができるのかを考える必要があると思い児童虐待について取り上げさせていただきました。
・浦安市の現況について
まず、児童虐待に対する近年の現状、本市の受理件数について過去3年間（27.28.29年度）の虐待及び種類別の数値について、そして平成30年度の直近で継続事案は何件か伺いました。児童虐待の近年の現状ですが、保護者からの言葉の暴力やＤＶの目撃による心理的虐待が、最も多くなっております。
本市の児童虐待相談対応件数は、平成27年度、28年度、29年度の順に申し上げますと、246件、263件、264件です。
内容は、身体的虐待が、70件、66件、58件です。心理的虐待が、136件、161件、165件です。ネグレクトが、38件、35件、41件です。性的虐待が、２件、１件、０件です。平成29年度からの継続事案の件数は、平成31年２月末で、48件となっております。（平成25年度～）
（参考）
平成30年度（平成31年２月末現在）継続件数48件
※上記内訳：身体的虐待８件（重複５件）、心理的虐待17件（重複９件）、ネグレクト23件、性的虐待０件です。
平成30年度（平成31年２月末現在）受理件数337件
※上記内訳：身体的虐待104件、心理的虐待168件、ネグレクト64件、性的虐待１件です
・増加する相談 足らない人員
平成29年度の児童虐待相談対応件数は264件で、平成30年度は２月末現在337件で、既に88件増加しております。
昨年から今年にかけて発生した児童虐待事件の報道を受け、社会的関心の高まりから、相談件数の増加につながっております。
また、今回の野田市の事件を児相が防ぐことができなかったことは、批判を免れ得るものではないですが、今後の虐待防止をどう実現するかといった際に、日本の児童相談所の虐待相談対応件数は年々、急増しており 1990年には1,101件だったものが、2017年には実に133,778件へと急増しています。もちろん、ここ30年ほどで虐待がクローズアップされるようになって、いわゆる「泣き声通告」が増え、統計上の数字が上がっていることから、純粋な比較とはならないですが、決して楽観は出来ない数字です。また対応する児童福祉司の数は、1999年から2015年までの間に2.4倍の増加にとどまっており、相談の対応が追いつかないケースもあるとのことです。
市では、児童への在宅支援を中心となって行うなど、身近な場所で児童や保護者を継続的に支援し、児童虐待の発生予防等を図っております。虐待の通告を受理した際には、緊急性や介入の必要性の判断をした後、子どもの安全確認をし、初期調査を行います。その後、支援方針を決定し、支援計画に基づき、関係機関と連携をし対応しております。
・増加する虐待事案にどう対応するか
そこで全国的に児童虐待相談件数が増加する一方で、人員が足りないと聞きますが、本市の場合は大丈夫か、また市が対応している人員はどのようになっているかと質問したところ、担当部長より『児童虐待の相談については、こども家庭支援センターの職員９名で行っております。近年、児童虐待による事件が報道されていることもあり、市民や子どもが通う学校などからの通報が多くなっているため、相談支援業務が増大しています。国が示した「市区町村子ども家庭総合支援拠点設置運営要綱」の中で、必要な人員配置が示されておりますので、本市においても、人員を確保し、体制強化を図る予定となっています。』との答弁が返ってきました。
今後の虐待防止をどう実現するかといったことを考える際に、人員体制を強化させることがまずできることではないかと思います。今回の様なケースを起こさないよう、市職員の問題解決能力や相談能力の向上とともに、人員の確保が急務です。
2019年03月20日
柳 毅一郎
