平成31年3月議会　自身の一般質問で取り上げた下水道事業についてまとめました。　

　今定例会で数十年ぶりに下水道料金が値上げが決定されましたが、今後老朽化等の問題があり、市としても本気で財源の捻出を考える時が来たように思います。
　それでも、近隣市と比べ料金は安価だということについては、ご理解を賜ればと思います。

　一般質問でその点を含め、なぜ値上げが必要なのかしっかりと説明責任を果たす様に市当局に要望を行いました。

・本市の下水道事業の直近収支、今後の負担について

　平成29年度決算ベースで支出総額約37億７千万円に対し、収入としては、下水道使用料が約22億２千万円で58.9％、一般会計繰入金が約11億円で29.3％、流域下水道事業債が３億４千万円で8.9％、受益者負担金や国庫補助金などのその他の財源が、約１億１千万円で2.9％となっており、一般会計からの繰り入れが問題となっておりました。また、下水道に関する平成29年度末の地方債借入金残高としましては、109億5,428万9千円もあり、この返済についても考えながら経営して行かねばなりません。

　現状のままでは、2020年～2028年の9年間で　84.7億円の歳出超過がおきますが、値上げにより計算上42.2億円の歳出超過に抑えることができます。値上げしても収支はトントンにはなりませんが改善されます。なお、2020年～2028年の9年間では、長寿命化対策に7.7億円　総合地震対策14.9億円　舞浜ポンプ場9.9億円　下水道面整備29億円、合計61.5億円の費用がかかる予定となっています。

　さらに、下水道施設の老朽化について、いつ頃が更新投資のピークになると予測しているのか伺ったところ、担当部長より『平成29年度に策定しましたストックマネジメント全体計画において、下水道管の標準耐用年数である50年を経過した施設を更新した場合の事業量を予測しております。その際、2028年から2050年までの期間に事業量が増加し、その事業費は総額で約638億円と見込んでおります。また、2065年頃には東日本大震災後で復旧した施設が更新を迎えるため、その事業費が約92億円と見込んでいます。』との答弁を得ました。非常に大きな金額であり、長期的な展望のもと、経営を行って行く必要があります。

・震災時、国費を活用し整備

　なお、本市の下水道の総延長は約 305kmであり、東日本大震災では、中町・新町地域の約 171kmのうち約 33.5kmの復旧工事を行ってきました。
　下水道の災害復旧工事に関する費用につきましては、平成22年度末から28年度までの期間で約192億円を支出しており、その費用の内訳は、国費が約150億円、市費については、市債41億５千万円も含めて、約42億円となっています。大変なおもいをしましたが、国費を用いて、下水道の財政負担の面や耐震化を行い安全面を向上させた点は、もう少し知られても良いかなと思います。近隣市ではこのような国費のもとでの整備はありません。

・放置できる問題ではなく、だれかが責任を持って行う必要のあること

　国土交通省「下水道管路施設に起因する道路陥没件数の推移」をみると 2010年には5,000件を超え，逓減しているものの2015年には3,300件を上回って陥没事故がおきているとのことです．しかし今後はさらに増えていくことが予想されており，多くの地方公共団体では頭を抱えています。
　下水管の多くはコンクリート管であり、水道管は圧をかけて水道水を流しますが、下水管は圧をかけずに管の高低差を利用し、自然流下によって汚水を流しています。腐食は汚水に含まれる硫酸が管を溶かす形で進行、次第にコンクリートの内壁がもろくなり、管に穴が開きます。圧がかかってないので汚水は噴き出しませんが、大量の土砂を吸い込み、 地中に大きな空洞をつくります。すると突然、上部の道路が陥没するとのことです。日本全土で問題となっている事象ですが、浦安市においても、こういった最悪の事態はなんとしても避けなくてはなりません。今までは新たにインフラを整備するといった「造る時代」を過ごしてきましたが、財政状況の将来的な課題も重なり，今あるインフラ設備をいかにしてもたせるかといった「維持する時代」に本格的に転換する必要があります。

　下水道が流れる当たり前を維持するため、自身としても今後とも経営をしっかりとモニタリングして参ります。下水道は地下にあり、見えないので、日頃大切さがなかなか意識されませんが、本当に大切な事業です。

2019年03月18日
柳 毅一郎

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