新藤宗幸著 教育委員会ー何が問題か 岩波新書
新藤宗幸著 教育委員会ー何が問題か 岩波新書が発刊され読みました。一言で言うなら、事務局が強いとの結論です。
色々課題はあると思います。
以前、平成23年8月28日(日)佐藤健二先生(とある私学の教頭先生だった方)に教えていただきましたことです。以下リライトします。最後の文献目録はがんばってあらかた読みました。最後の文献ではないですが、特に、『アメリカ教育使節団報告書』村井実。講談社学術文庫。1979、は秀逸あーそうかと思います。こんなにも短期間に、戦後の教育行政の核心が規定されている、と思うと結構ビックリする人も多いはずです。
(以下リライト)
〈敗戦とGHQによる占領政策〉
昭和20年(1945)
8月14日 ポツダム宣言受諾(「国体護持」を条件とする。軍隊は無条件降伏)
8月15日 終戦の詔勅渙発
8月30日 連合国軍最高司令官マッカーサー、厚木到着
9月2日 降伏文書に調印(東京湾のアメリカ戦艦ミズーリ 号上)GHQ指令第1号発表(陸海軍解体・軍需生産停止)
9月10日 GHQ、言論及び新聞の自由に関する覚書発表(検閲開始)
9月19日 GHQ、プレスコードに関する覚書(22日ラジオコードに関する覚書)
9月20日 文部省、中等学校以下の教科書から戦時教材を省略・削除するように通牒いわゆる「墨塗り教科書」の指令。(昭和21年2月4日に「教科書検閲の基準」が定められ、以下の記述は削除された。
①天皇に関する用語(現御神、現人神、上御一人、天津日嗣、大君など)
②国家的拡張に関する用語(八紘一宇、皇国の道、肇国の精神、天業恢弘など)
③愛国心につながる用語(国体、国歌、国民的、我が国など)
④日本国の神話の起源や、楠木正成のような英雄および道義的人物としての皇族
⑤神道や祭祀、神社に関する言及、等々。
10月1日 GHQ 、個人の信書など郵便検閲を指令。
10月9日 GHQ、東京5大紙の新聞記事の事前検閲を開始。
昭和21年
1月1日 天皇、神格化否定の詔書(いわゆる天皇の人間宣言、正しくは「年頭国運振興の詔書」)
1月19日 マッカーサー、極東軍事裁判所の設置を命令、同裁判所憲章を発布。
2月3日 日本憲法草案の作成を民政局に指示(10日、GHQ案完成)
2月8日 日本政府、憲法改正要綱(松本試案)をGHQに正式提出
2月13日 GHQ、松本試案を拒否し、GHQ草案を日本政府に手交。
3月5日 アメリカ教育使節団27名来日(25日間調査研究、31日報告書提出)「教育基本法や六三制はもちろん、男女共学も、PTAもホームルームも、社会科も、要するに現在の学校制度に関する制度上、行政上、方法上、内容上のほとんど何もかもが、この報告書によって新しくこの国に採用されたものだなどとは、ほとんど考えることもできない人々が少なくないであろう。だが、ほんとうに、この報告書の勧告に応じて、こうしたすべてが始まったのである。」(『アメリカ教育使節団報告書』P.141 全訳解説:村井実。講談社学術文庫。1979)
3月6日 日本政府、憲法改正草案要綱を発表(主権在民・象徴天皇制・戦争放棄を規定)
5月3日 東京裁判開廷。(4月29日起訴状公布。昭和23年11月12日戦犯25被告に有罪判決。死刑7名。終身禁固16名、ほか。12月23日、死刑執行)
10月8日 文部省、教育勅語捧読の廃止・神格化廃止を通達。
11月3日 日本国憲法公布 (11月3日は明治節)
昭和22年
5月3日 日本国憲法施行
昭和23年
6月19日 衆参両院、教育勅語・軍人勅諭などの失効確認・排除に関する決議案を可決。
GHQの占領政策「検閲に関して」(参考文献『閉された言語空間―占領軍の検閲と戦後日本』(江藤淳・単行本平成元年出版、文春文庫本平成五年出版 文藝春秋。以下は文庫本による)237―241頁
《CCD(民間検閲支隊)の策定した検閲方針》(昭和21年11月末)
削除または掲載発行禁止の対象となるもの
(1)連合国軍最高司令官(司令部)に対する批判
連合国軍最高司令官(司令部)に対するいかなる一般的批判、および以下に特定されていない連合国最高司令官(司令部)指揮下のいかなる部署に対する批判もこの範疇に属する。
(2)極東軍事裁判批判
極東軍事裁判に対する一切の一般的批判、または軍事裁判に関係のある人物もしくは事項に関する特定の批判がこれに相当する。
(3)連合国軍最高司令部が憲法を起草したことに対する批判
日本の新憲法起草に当たってSCAPが果たした役割についての一切の言及、あるいは憲法起草に当たってSCAPが果たした役割に対する一切の批判。
(4)検閲制度への言及
出版、映画、雑誌の検閲が行われていることに関する直接間接の言及がこれに相当する。
(5)合衆国に対する批判
合衆国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(6)ロシアに対する批判
ロシアに対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(7)英国に対する批判
英国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(8) 朝鮮に対する批判
朝鮮に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(9)中国に関する批判
中国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(10)他の連合国に対する批判
他の連合国に対する直接間接の一切の批判がこれに相当する。
(11)連合国一般に対する批判
(12)満州における日本人取扱についての批判
(13)連合国の戦前の政策に対する批判
(14)第三次世界大戦への言及
(15)ソ連対西側諸国の「冷戦」に関する言及
(16)戦争擁護の宣伝
(17)神国日本の宣伝
(18)軍国主義の宣伝
(19)ナショナリズムの宣伝
(20)大東亜共栄圏の宣伝
(21)その他の宣伝
(22)戦争犯罪人の正当化および擁護
(23)占領軍兵士と日本女性との交渉
(24)闇市の状況
(25)占領軍軍隊に対する批判
(26)飢餓の誇張
(27)暴力と不穏の行動の扇動
(28)虚偽の報道
(29)連合国軍最高司令部または地方軍政部に対する不適切な言及
(30)解禁されていない報道の公表
《検閲の開始》
昭和20年(1945)
9月14日午後5時29分 同盟通信社24時間の業務停止
翌15日業務再開。条件「同社の通信は日本のみに限られ、同盟通信社内に駐在する米陸軍代表者によって百パーセントの検閲を受ける」(9頁)
9月18日「朝日新聞」午後4時から20日午後4時まで、48時間の発行停止処分
9月19日英字新聞「ニッポン・タイムズ」(The Nippon Times)午後3時30分から20日3時30分まで発行停止
10月1日「東洋経済新法」昭和20年9月29日号占領軍から回収を命じられ、断裁処分
「日本国憲法」昭和21年11月3日公布。昭和22年5月3日施行。
(前文・原英文)
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全体によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。
われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。
日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」
【現在の日本を考える上で重要な著書】
江藤淳『忘れたことと忘れさせられたこと』(1979、文春文庫版1996)
江藤淳『閉された言語空間 占領軍の検閲と戦後日本』(1989 文春文庫版1994)
江藤淳『一九四六憲法―その拘束 その他』(1995 文春文庫)
清瀬一郎『秘録東京裁判』(昭和42年読売新聞社刊、中公文庫昭和61年)
小堀桂一郎編『東京裁判 日本の弁明 「却下未提出弁護側資料」抜粋』(1995 講談社学術文庫)
ヘレン・ミラーズ『アメリカの鏡・日本』(1995年 発行アイネックス)原著1948年出版
1949年マッカーサー「占領が終わらなければ、日本人は、この本を日本語で読むことは出来ない。」
占領史研究會『総目録 GHQに没収された本』(平成17年 サワズ&出版)
寺崎英成、マリコ・テラサキ・ミラー『昭和天皇独白録』(平成7年 文春文庫)
高橋史朗『検証 戦後教育』(平成7年 広池学園出版部)
2013年11月21日
柳 毅一郎